【こんな症例も治りますシリーズ 750】『 まぶたの腫瘤、飼主様が良性と思っていた…実は悪性腫瘍だった症例 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、左に今回のワンちゃんの右目。 左上が手術前、左下が手術直後。 右は典型的な眼瞼メラノーマの写真です。

★ メラノーマ(黒色腫)は、皮膚と粘膜の境目に多く発生します。

★ 現代の獣医学では、麻酔が出来るかは年齢ではなく『 各臓器の機能レベル検査 』で決めます。 当院では19歳でも麻酔をかけてます。

 

参照サイト:

https://00m.in/KmzlJ

 

犬 柴犬 15歳 オス(未去勢手術)

 

 

【 右まぶたにできたしこりがここ最近急に大きくなり、出血するようになった 】とのことで、来院された柴犬の症例です。

 

 

 

◆◆ 診察時、右上眼瞼に約1cmの黒色の腫瘤を確認しました。 出血もあり、飼い主様はご不安な様子でした。 15歳ということで、判断して来院するまでに時間がかかったようです。

 

 

 

 

 

■ 【まぶたのしこり=良性とは限らない】

 

 

犬の眼瞼に出来る腫瘤は、高い確率で良性であることが多いのですが、

『急に大きくなる』『出血する』『色が黒っぽい』といった変化がある場合は、悪性の可能性も十分に考慮する必要があります。

 

 

 

 

■ 【全身検査と手術方針】

 

 

15歳という年齢を踏まえ、まずは胸部・腹部レントゲン、心臓エコー検査を実施しました。

これにより、全身の状態と麻酔リスクを慎重に評価します。

その結果、手術は可能と判断し、眼瞼の腫瘤の外科的切除を行うことにしました。

 

 

 

★ 注意すべき点は、眼球に縫合糸が触れないよう、眼の構造に配慮しながら慎重に縫合しました。

 

 

 

 

■ 【病理組織検査の結果】

 

 

切除した腫瘤は病理組織検査に提出しました。 結果は――

『 メラノーマ(悪性黒色腫) 』

 

 

 

 

予想通り悪性腫瘍ではありましたが、幸いにも病理組織上は完全切除が確認されました。

手術のタイミングが適切だったと思われます。

 

 

 

 

■ 【今後の経過観察】

 

 

現時点では明らかな転移所見はなし。

しかし、悪性腫瘍の中でもメラノーマは再発・転移の可能性がある腫瘍です。

今後も定期的に検査を行い、早期発見・早期対応を心がけていきます。

 

 

 

 

■ 【まとめ】

 

 

ものもらい等が有名ですので、

『 まぶたのシコリは大丈夫だろう 』 と一般の方は思いがちですが、

急なサイズの変化や出血などがある場合には、悪性の可能性も視野に入れた診察が必要です。

 

 

 

 

★ 今回のように、高齢犬でも全身状態をしっかり確認すれば、外科手術が安全に行えるケースは少なくありません。

 

 

 

気になる腫瘤を見つけたら、早めの受診をおすすめします。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

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